本記事は、整理収納の専門家がいくつかの整理案件で得た観察にもとづくもので、実務経験であり、長期的な統計や一般的な結論ではない。
散らかっているとは言い切れない家がある。物はしまってあり、置き場所も決まっている。それでも住む人はずっと何かがしっくりこないと感じ、いくらしまっても流れがよくならず、片づけてもすぐにまた散らかる。こうした状態は収納テクニックの不足とみなされがちで、その結果また収納ボックスを買い足し、新しい棚を注文することになる。整理収納の専門家がいくつかの似た案件で見てきた原因は、テクニックにはなかった。空間の配置が間違っている場合もあれば、物の量を少し減らす必要がある場合、動線を組み直す必要がある場合もある。
なぜ片づけるほど窮屈になるのか
行き詰まっている人の多くは、すでに十分な努力をして片づけている。目の前でいちばん散らかっている場所から手をつけるのが習慣になっている。机の上が山になれば机を片づけ、おもちゃが床に散らばれば拾い集める。そのたびに成果は出るが、散らかる原因そのものには触れていない。おもちゃの量がその階で受け止められる範囲を超えていれば、どれほどきれいにしまっても、数日後にはまたあふれ出す。
原因が配置にある場合、部分的な片づけはいつまでも効かない。住む人は失敗を繰り返す自分を見て、片づけが下手なのだと思い込みやすい。しかし本当に必要なのは、まず量を減らし、そのうえで空間を割り振り直すことだ。
一歩下がって家全体を見る
整理収納の専門家は自分のやり方を、少し高い位置から空間全体を眺め、まず本当の原因を見つけ、そのうえで家全体を配置し直すことだと説明する。四階建ての一戸建ての案件に、そのやり方がよく表れている。
一階にもともとあった一部屋は、そのままプレイルームに変えた。リビングの収納、キッチンと奥の冷蔵庫まわりのアングル棚も、すべて整理し直した。二階はもともとおもちゃが多かったが、一部を一階へ移したことで、主寝室のある階が常に半分散らかった状態にならずにすむようになった。ウォークインクローゼット、机の上、浴室もあわせて調整した。三階は夫の仕事部屋と客室二部屋で、赤ちゃんの衣類とベビー用品をすべて分類し直し、置き場所も決め直した。四階はフロア全体を納戸に変え、L字型のアングル棚を入れて壁一面を収納にした。階段のあいだの空間、物干し場、各階の中間にあるスペースも、一つずつ整理した。
このリストで重要なのは順序である。一階にプレイルームができたからこそ、二階のおもちゃに行き先ができた。四階が納戸になったからこそ、ほかの階に余白が生まれた。各階の変化は別の階の調整に支えられており、どれか一つの階だけを扱っても同じ効果は出ない。
物はそれほど減っていないのに、空間がはっきりする
片づけたあと、物の量は実はそれほど減っていない。それでも空間全体がとてもはっきりする。住む人は、この物がなぜここにあるのか、使いたいときにどこへ取りに行けばよいのかがわかるようになる。整理収納の専門家は、一歩入っただけで感じ取れる、空間のほうがその用途を教えてくれると表現する。
効果はその場かぎりではない。物が正しい場所に収まり、戸棚や引き出しの中の収納用品もそれに合わせて計画されていれば、住む人はたいてい要領をつかみ、どうしまえばよいか、どう保てばよいかがわかるようになる。連想によって必要な物にたどり着けるようになり、家族も物の場所を覚えやすくなる。家の秩序が続くかどうかは、家族全員がその仕組みを理解できるかにかかっている。主に片づけている一人が覚えているだけでは足りない。
収納用品を買わずにすむのも、一つの節約
資源の観点から見ても、この進め方のほうが無駄が少ない。片づけが行き詰まったとき、いちばん直感的な反応は買い足すことだ。もっと多くのボックス、もっと多くの棚、もっと大きな収納家具。しかし配置を調整しないまま新しい収納用品を増やしても、物の山の置き場所が変わるだけである。先に量を減らし、そのうえで今の家族の暮らしに合わせて空間を割り振り直せば、もともとある部屋や戸棚、棚でたいてい足りる。買い足す収納用品もずっと少なくなり、しかも的確に選べる。
段階的にとらえ、一度で満点を求めない
片づけの出発点は家によって違う。だいたい三十点という家もあり、全体が行き詰まっていてどこから手をつければよいかわからない。そういうときは、まず空間が普通に使える状態にすることを目指す。すでに六十点まで来ていて、ある一点だけで引っかかっている家もある。もう一日かけて細部を詰めれば、そこから上げられる可能性がある。案件の依頼主がもう一日追加で予約し、整理収納の専門家に空間をより丁寧に仕上げてもらったのも、同じ理由からである。
段階的に進めることには二つの利点がある。すべての問題を一度に広げる必要がないこと、そして住む人が各段階で、その変化が自分の暮らしに合っているかを確かめられることだ。
ひとことで持ち帰るなら
物はしまってあるのにどこか窮屈な家は、収納用品を買い急ぐ前に、一歩下がって建物全体の配置を見てほしい。問題はたいていそこにある。
出典:廖心筠 Facebook 粉絲專頁(內容整理與改寫)
