次の食事に困っている人がいる一方で、大量の食べ物が冷蔵庫やレストラン、売り場からそのままゴミ箱へ入っていく。国連環境計画(UNEP)の推計によると、2022年に世界の小売・飲食・家庭から発生した食品ロスは10億5,000万トンで、1人あたり132キログラムに相当し、消費者に提供された食料全体の約5分の1に近い。家庭だけでも、毎日10億食以上の食べ物が捨てられている。
これは単に「食べ物を大切にしない」という道徳の問題ではない。食べ物が農地から食卓に届くまでには、土地、水、肥料、エネルギー、労働、加工、包装、コールドチェーンが必要となる。食べ物を捨てるということは、そこまでに投入された資源もまとめて捨てることであり、埋立地に入ればメタンを発生させる可能性もある。
廃棄は多くの場合、故意によるものではない
家庭では、セールでつい買いすぎたり、「賞味期限」と「消費期限」の違いを理解していなかったり、冷蔵庫が詰め込まれすぎて中に何があるか忘れてしまったりする。レストランは豊富な品揃えを保つために過剰に用意し、小売の流通では見た目の規格、在庫、返品の仕組みによって、まだ food として食べられる商品が排除されていく。
問題を「みんなが残さず食べればよい」と単純化してしまうと、供給システムがどのように廃棄を生み出しているのかが見えなくなる。本当の意味で食べ物を大切にするには、仕入れの需要予測、分量の設計、保存、期限間近の値引き、余剰食品のマッチング、寄付のルールから、生ゴミの分別と資源化まで、まとめて取り組む必要がある。
2026年の国連「国際廃棄物ゼロの日」でも、再び食品ロスに焦点が置かれている。最新の公式データでも、消費段階の食品ロスのおよそ6割が家庭から発生し、飲食が28%、小売が12%を占めている。したがって個人の行動は重要だが、事業者や都市にも代替できない責任がある。
資源の分かち合いは、食べきれなかった一食から始められる
家庭でできる簡単な変化がある。買い物の前に在庫を確認する、期限が近い食材を目に入る場所に置く、食べられる量に合わせて注文する、持ち帰りをためらわない、見た目が完璧でない野菜や果物も受け入れる。地域では、食のシェア棚、余剰食品のプラットフォーム、冷蔵物流を整えることができる。企業は「廃棄率」を避けられないコストではなく、運営指標として扱うことができる。
もちろん、食品の安全性が犠牲にされてはならない。分かち合いや寄付には温度管理、責任の所在、明確なルールが必要であり、廃棄物処理のコストを社会的に弱い立場の団体に押し付けてはならない。
食べ物を大切にするとは、一人ひとりに満腹以上に食べることを求めることではなく、食べ物がゴミになる前に、より良い行き先を用意することである。
学校や家庭でも、食べ物を大切にする姿勢を次の世代に受け渡すことができる。子どもに買い物、保存、料理に参加してもらい、一つの食べ物がどこから来たのかを理解させることは、環境スローガンを暗記させるよりも役に立つ。日々の習慣が目に見えるようになったとき、価値は世代を越えて残っていく。
ビジョン協会がいう資源の分かち合いは、必ずしも大規模な計画から始まるわけではない。ときにそれは、本来なら捨てられていたものを、本当に必要としている人の手に届けることである。それが仕組みとして定着したとき、節約されるのは一食分だけでなく、土地と水と炭素にかけられた一連の労力でもある。
参考資料
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国連環境計画(UNEP)『Food Waste Index Report 2024』。
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UNEP、International Day of Zero Waste 2026 公式資料。
